伝説の家族が帰ってきた!

アルフレッド・ヒッチコックやティム・バートンなど様々なクリエイターにインスピレーションを与え、アメリカで長年に渡って愛され続けてきた漫画『アダムス・ファミリー』が、CGアニメとなってスクリーンに登場する。ちょび髭を生やしたダンディな家長、ゴメズ。魔女の家系に生まれたクールなマダム、モーティシア。無表情でいつも何かを企んでいるような危険な長女、ウェンズデー。過激な遊びが大好きな悪ガキの弟、パグズリー。フランケンシュタインみたいな執事、ラーチなど、人気キャラクターが勢揃い。一緒に指を鳴らしたくなる有名なテーマ曲に乗って、モンスター一家がダークな笑いを振りまいてくれる。

 漫画家のチャールズ・アダムスが、1930年代に雑誌に描いたヒトコマ漫画としてスタートした『アダムス・ファミリー』。そのヒネくれたユーモアのセンスとユニークなキャラクターが人気を集めて、60年代にTVシリーズやアニメ・シリーズが作られて、彼らはお茶の間の人気者になった。1991年には長編映画として実写化されて大ヒット。そんな長い歴史の中で、劇場用アニメは今回が初めてだけに、コミックファンや映画ファンの間で大きな注目を集めていた。そして、ついに完成した本作は、原作のテイストを大切にしたオリジナル・ストーリーだ。丘の上のオンボロ屋敷に住んでいるアダムス・ファミリー。ここ最近は、一族に受け継がれてきた儀式、「セイバー・マズルカ」を、パグズリーが親戚の前で披露する日が近づいてきて何かと忙しい。そんな時、屋敷の近くでは、テレビの人気司会者、マーゴ・ニードラーがカラフルな住宅地を作っていた。そして、アダムス・ファミリーと何よりも「普通」を愛する人間社会との間で大騒動が巻き起こることに―。

 人気シリーズのアニメ化ということもあって、ヴォイス・キャストは実に豪華。ゴメズの声を担当するのは、『アダムス・ファミリー』の大ファンだったというオスカー・アイザック。そして、モーティシアはオスカー女優のシャーリーズ・セロン。ウェンズデーは新世代のホラークイーンともいえるクロエ・グレース・モレッツで、パグズリーは『ストレンジャー・シングス 未知の世界』シリーズでブレイクしたフィン・ウォルフハードと、このまま実写化できそうな見事な配役。さらにおばあちゃん魔女をベット・ミドラー、ゴメズのいとこのカズン・イットにラッパーのスヌープ・ドッグという遊び心溢れるキャスティングも楽しい。監督を手掛けたのは、過激な笑いを詰め込んだ『ソーセージ・パーティー』(2016年)で話題を呼んだコンビ、コンラッド・ヴァーノンとグレッグ・ティアナン。二人は原点に立ち戻り、チャールズ・アダムスの漫画の持つユーモアのセンスやヴィジュアル・イメージを参考にしながら、新しいアダムス・ファミリーの世界を作り上げた。ゴシック・ムードたっぷりの美術。怖くて可愛いキャラクターは今見ても魅力的だ。原作には描かれていないゴメズとモーティシアの結婚秘話が描かれていたり、ウェンズデーが人間の中学校に通ったりと気になるエピソードが散りばめられていて、原作のファンはもちろん、アダムス・ファミリー初体験者も楽しめること間違いなし。社会の常識とは反対に不気味なことをこよなく愛する一家が、「他人と違うことの尊さ」を教えてくれるだろう。子供から大人まで、世代を超えて楽しめるホラー・コメディの傑作の誕生だ。